« 広島カープ 前田 脱天才宣言 | トップページ | 歯、口内環境に良い物 (快食のために) »

Zガンダム劇場版第一部「星を継ぐ者」レビュー 評価:良い

老師です。

遅ればせながらZガンダムの劇場版を見てきた。

結論は90点。良い。ほとんど穴が無い。富野監督らしくなく構成力に優れている。
監督は、この年になってやっと、弱点を克服しつつあるようである。
この当たり具合は「劇場版パトレイバー」並である。一般の方にも、お勧めである。
変な日本映画よりよっぽど良い。またハリウッドにも対抗できる。
日本人ならスターウォーズよりガンダムでしょう。
ガンダムファンには朗報!ターンAガンダム劇場版より構成は、しっかりしている。

まず既存の一般に近いZファンの為
当時の印象と比べ、何処までよく構成され、どう変わっているかレビューしたい。

印象

老師はZ世代である。当時初代ガンダムは、再放送でしか観たことは無かった。
同日の違う時間帯にZと再放送されることもあった。
初代ガンダムと比べZガンダムは
分かり易さが無く主人公や登場人物が変にイライラしており、無駄に事件を起こしている印象が強かった。

またシャアが弱くなっている印象も感じる。これは当時のよりリアルにという風潮を意識して
ドキュメンタリー風にニュータイプ能力は”さりげなく感が効く人”となっている為と思われる。

(渋い感じ、いわゆる日本人風のわびさびの世界、お茶を一杯に汲んだら「それを全部飲んだら帰ってください」という意味があるらしいが、そんなさりげないメッセージだらけ。読み解く力が要るアニメである。これはこれで良い
最近TV版はDVDでもダウンロードでも見られるので時間がある人は再認識して欲しい。)


「どう変わっているか」
2時間の構成上、分かり易くなっている。当時気づきにくい複線としてさりげなくしてある事も
オーバーに種明かしをしている。
例として、「アウドムラを即ビーム攻撃しないのは、アウドムラを手に入れたい為」とか
シャアが「ハヤト君、後方からの敵を感じるが、レーダーで認識できないか」と初代最終回シャア並の
トップスピードのニュータイプ覚醒を見せつける。
登場人物が、こうしてくれ!と言われると「はい」と比較的素直に答える(カミーユ、カツ、エマ)
等である。無駄な自己発電の事件は無い。

モビルスーツ・戦闘画面
当時、初代ガンダムと比べZガンダムは、線が細く、引いた遠景画面ばかりで
モビルスーツが小さく、おまけに動きが速くよく見えなかった印象がある。特に百式は速くて目で追えなかった。
初代と比べビームライフルの迫力が無く、ピュンピュン言っているだけで寂しく感じたものである。
また「艦隊戦、艦隊戦」とアレキサンドリアの砲撃の威力を強調する場面とかが、あるのだが
艦隊戦は期待はずれのチョロ花火のような表現しか無かったように見える。
多分 予算や技術の問題だろう。永野氏の良いデザインが生きていない。

「どう変わっているか」
ほとんどの人の評価が高いが、上記の悪い点は、ほぼ全て払拭されている。
ビームも音、作画の改良で迫力がある。Mk-2のバルカンの音は映画版の方が正解だろう。
艦隊戦もバッチリである。これなら艦隊の射軸上にいると死にそうである。
ティターンズ側の発進シーンも素晴らしい。

問題点:
・グリプスの防御隊GMのサーチをシャア搭乗リックディアスが高速で外しビーム避けるシーンは
TV版のままであり劇場では見難い。これは新作画のほうが良かった。(シャアの凄さが分かりにくい)。

・ライラとの戦闘シーンはカミーユの動作とMk-2の動作がリンクしていないので変な蹴りの作画は
余計のような気がする。ぱっと見、団子のような感じである(ガニ股で姿も美しくない)。

・メッサーラのビームがエウーゴ側、巡洋艦を撃沈したシーンが一瞬過ぎて分かりにくい。
 (これは、速くても良いが、速い場合は「正体不明の敵、味方艦が撃沈!」とか重なってもセリフに入れたほうが良かった。でなければもっと見易くして欲しい 分かりにくい。)

・エマ搭乗Mk-2の白旗のエアーの描写はやはり、原作どおり、たなびいている時と止まる時2度描写すべき。

(フランクリン搭乗のハイザックのじたばたアーガマに着艦するシーンはカットの方が良かった。またギャグみたいにじたばたするのではなく、火花を散らして擦るとかそういう一瞬のリアル描写の方が良いな。
そうそう。静かに雰囲気を作るシーンがTV版Zには多い。ただでさえ戦闘シーンが多い映画版では
エアーのシーンは箸休めに効果的なのに、この”じたばた新作画”は雰囲気を壊し上品さを無くす。)
追記:「宇宙空間で白旗がたなびいているよ。変だね(笑)」というレビューを良く見るが
    しっかりエアーを出して、たなびかせている。静かに2度描写していない為、
    一般の評価はこうなってしまう。
    2部以降サラがハイザックで投降する時はしっかり描写して欲しい。
   
-プラスアルファの今後の期待-
・やはり、ブライトご自慢の弾幕描写が欲しい。(これも今までのガンダムでは線香花火みたいな描写しかない)

話の構成
「アムロ再び」までは
あの時は本当に壮大な、ドキュメンタリーのようなSFミリタリー映画と言う印象だった。

なにか現実の一場面を切り取ったような印象を受けた。話の全体像も分かりにくかった。
またとにかく、カミーユが悲惨で、殴る、殴られるシーンが多く殺伐としておりビックリした。
エマさんは、とにかく平手打ちをよくしていた。

またアムロが、なかなか出てこず、シャアは出てきても情けないのでイライラしたのを
覚えている。

「どう変わっているか」
前半の物語「アムロ再び」までを構成した物である。
カミーユは既に捕まっている所から始まる。前半は、すこしセリフが説明調なのは気になる。

(これは前半の木星のCGに”初代ガンダムのOPのような”説明アニメを挿入する事で少し軽減できたのではないか?ちなみに前半のCGは少し安っぽい。TV版のOP”ジオン兵の亡骸が木星を漂う”を明るくCG化したものだ。)

フランクリンとヒルダはTV版では別々に死ぬのだが、映画版は同時に死ぬようになっている。
しかし安心して欲しい。この構成力は見事である。全く違和感が無い。別の人の手が入ったのでは?
というくらい富野氏の構成力が上がっている。本当に自分で構成したのなら凄い成長である。

「大尉にお尻を触られていたの」というレコアとシャアの会話は別にアダルトではない。
安心して観ていられる。映画的演出であり、会場で笑いが上がるように考慮されている。

30バンチ事件も分かり易く、エマとレコアの会話とノートパソコンの映像で表現している。
(HDDのアクセス音は懲りすぎ、意味が無いと思う 映画だと気になり画面に集中できない)

ロザミアとブランは同時に矢継ぎ早に攻撃してくる。これも見事に構成されている。

アムロの決意までは、スピーディーでこの構成では心に火が残っている印象だ。

マニアックなMSV群が出るジャブローは良い絵を選んでおりツボを押さえている。

最後のアムロ突撃シーンもTV版では迫力不足で当時でも、「あんなのでMSが落ちるの?」と
思ったものだが、これなら納得だ。ハリウッドに負けないぞ。

殴る殴られるシーンはあまり無い。ティターンズ側はあり。
(味方側の暴力は、みんなで見る映画だと引いちゃいます止めて良かった、正解。)

問題点:
ほとんどないが

・ジェリドがジープで去った後、ハイザックで出撃するシーンがカットなので
映画単体で観た場合ジェリドの行動が謎になってしまう。
 ここは気になる。TV版でも展開が遅いので謎のシーンだが
私なら「ハイザックが整備不良で出られなくてジェリドが悔しがるシーン」を入れる。

・ジェリドがライラを師匠と認める動機付けは、やや弱い。ライラのアドバイスと
利点を実感するシーンが欲しい。

演出・キャラクター新作画
当時はリアル路線を追求していたのか、アニメ的演出は控えめである。
スピード感もコマを飛ばしたような物が多く見にくかった。

実写のような演出もあった。
(シャアがMk-2の上に乗ったアムロをモニターで観ると光の具合で見にくい為
コックピットを開けて肉眼で見る等)

またTV版後期のOPアニメは美しく当時としては目が洗われるようであった。このクオリティで
全編して欲しいと思ったものである。目がキラキラ光るシロッコのシーン、飛び出すハイザックの顔。
シャアとカミーユがすれ違うシーンが好きである。

「どう変わったか」
細かいモビルスーツの排気の煙、火花などCGで加えられている(0083のようだ)。
スケール感を出す。人が逃げる演出シーンも優先的に採録している。

新作画で積極的に補給シーンを表現していたのはミリタリー要素の強いZではツボを
押さえており良かった。

シャア、アムロの遭遇シーンでのシャアがコックピットから乗り出すシーンは
ドキュメンタリーではなく映画になっていた。
賛否は分かれるが映画なので、私は可である。

キャラクター新作画は恩田氏である。
しかし、癖(キャラや動きに独特の揺れ、顔の作画に影がある、丸顔、マクベのように
青白い)
があるので顔が安彦氏のオリジナルデザインからは大きく外れる事もあり
好みが分かれると思う。(実現したが癖がある。)

「全編あの丸い顔で進むのかと思ったが昔の絵が出てきて安心した」と
見に来ていた女性が語っていたが本当にそう思う。
ちなみに私は古い絵柄のエマさんのほうが良い。

デジタル処理でゴミや色あせも取れ古い絵も鑑賞に耐える。岡本太郎が言っていたが表現は稚拙でも
力がある勢いがある作画は魂がある是非見て欲しい。これはこれで良い絵である。
小手先は練習すればうまくなるものである。
世の中は、器用な絵だけではないことを最近のアニメーターは参考にして欲しい。

声優陣
当時は初代の声優をそのまま使い豪華だった。
また、古参は居ないがロボットアニメでは有名な
実力派声優もそろっていた。新人もよく起用していた。

「どう変わったか」
一部、声優が変更になった。

カミーユはまったく問題ない。(丸尾君で頑張っていたので衰えていない)
シャアの声はやはり年寄りっぽくなっている。
(しかし、古い録音の物も転用されており、声優のパワーダウンは
防止できている。追記:新録音らしい)
レコアはピンと跳ね回る声が無いので、おばさん風になっているが
(古い録音で補完できている。追記:新録音らしい)今後出るかもしれない「私は女よ。だからここに居る」は
前の録音の方がよいかもしれない。

各所で言われているアポリー、ファはあまり違和感は無かった。

ハヤトは普通そうで力んだ時は特徴的に揺れる声なので違和感がある。
(TV版は普通のおじさん風だが凄みがある。このままでは普通のおじさんである
怒った時などの力んだ時の声が今後どこまで再現できるかである)

今回最も変なのはシロッコである。同じ声優だが
ハリオ艦長との会話は、声が低く
まるで別人である(本当に悪人風なのでこれで良いか・・・少し残念)。


総評
上記を見ると全般的に指摘点は多そうだが、今までの富野映画と比べれば雲泥の差である。
TV版では良くても映画では力が発揮できない富野氏の短くまとめる構成力の無さは
大分改善した。

同じようにエンターテイメントを追求したと言う「逆襲のシャア」と
比べても成長の跡が見える。今まで富野映画は最近の日本映画にも劣る
構成力の弱点から通好みであったが一般人も鑑賞に耐えるよう底上げできたのは良い事だ。

脚本が悪い日本映画は本当に多いが、Zの劇場版は最近の駄目日本映画の平均は超えている。
弱点を長所に変えれば第二部、第三部は期待できる。

日本など
ちっちゃな市場は越えてスターウォーズを越えよう!
大御所にはもう一踏ん張りして欲しい。

おまけ
第一部終了後、第二部の予告があるのだが、フォウが静止画から少し動く。
ダイジェストもツボを押さえており良い。
皆喜んでいた。これだけで涙ぐんでいる人も・・・。(第二部の期待文は後ほど書く予定)
期待が高まる。レビューを参考にスタッフの人は頑張って欲しい。

クレジットからGAINAXが噛んでいる様だが、
変なラストにならない事を望みたい。頼みますよ。

追記:読者の指摘通り、間違いを修正。

|

« 広島カープ 前田 脱天才宣言 | トップページ | 歯、口内環境に良い物 (快食のために) »

コメント

tkr様

コメントありがとうございます。
映画祭とバージョンが違いますか・・・。

ネットで散見するレビューは
本上映を前提にしていないもの
も多いみたいなのでtkr様の
追加レビューも期待しております。

投稿: 金色老子 | 2005年6月13日 (月曜日) 午後 10時07分

トラックバックありがとうございました。
「徒然雑草」のtkrと申します。
http://diarynote.jp/d/29346/

金色老師さんのレビューを拝見すると、わたしが観た「東京国際ファンタスティック映画祭2004」で上映されたバージョンと今回上映されている作品とはバージョンが若干異なるようですね。
そのうち確認しに劇場に足を運びたいと思います。

投稿: tkr | 2005年6月13日 (月曜日) 午前 11時16分

ありがとうございます。
私とした事が・・・・。
調べて修正しておきますね。

投稿: 金色老子 | 2005年6月 4日 (土曜日) 午後 11時58分

 はじめまして。劇場版Ζお楽しみになられたようで何よりです。ちょっと気になった点がありましたもので、書かせていただきます。

・後期OPの作画は、梅津さんです。劇場版作監の恩田さんではありません。
・劇場版は全編新録音で、TV版音声の転用はありません。
・シロッコが話していたのはモンブラン(エゥーゴ艦)ではなく、ティターンズ艦のハリオの艦長です。

 何か重箱の隅つつきで申し訳ありませんが(^^; これだけのものを書かれているのに勿体無いと思いまして。失礼いたしました。

投稿: しののめ | 2005年6月 4日 (土曜日) 午後 11時47分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: Zガンダム劇場版第一部「星を継ぐ者」レビュー 評価:良い:

» 機動戦士Zガンダム A New Translation 星を継ぐ者 [欧風]
皆さんは、「機動戦士ガンダム」って知ってます?1979年に全43話で放送されたアニメーションです。地球連邦軍と、独立宣言したスペースコロニーのジオン公国との戦いを描いた作品で、モビルスーツという人型兵器が出てきます。それまでのロボットアニメの様な勧善懲悪とは一線を画した、リアルさと深い話が人気を呼び、今でも根強い人気を誇っています。81、82年にはTV版を再編集した映画3部作が公開されました。私も子供の頃TV版を観た事があり、映画は結構観ていたので、映画の部分のストーリーは良く覚えていたのですが... [続きを読む]

受信: 2005年6月23日 (木曜日) 午後 07時34分

» 『機動戦士Zガンダム-星を継ぐ者-』 [ひょりシアター]
ZガンダムがTV放映されたのが約20年前。その数年前から富野アニメーションは全盛期を迎えていた。ザブングル、ダンバイン、エルガイム、そのとりをとったのがZガンダム。翌年ZZが放映されたがピークはもう越えていた。僕が最後にまともに見たTVアニメはZガンダムだったと思う... [続きを読む]

受信: 2005年7月 1日 (金曜日) 午後 11時35分

« 広島カープ 前田 脱天才宣言 | トップページ | 歯、口内環境に良い物 (快食のために) »